『はじめての朝は・・・』

+++written by RIBI様+++

 

「マーヤ。もう起きてるんだろう?」
シーツの山がピクリ…と動くが、そこから返事の声は聞こえない。
「朝食が来てるんだが… いいかげん君も腹が減っただろう」
その声にもごそごそと僅かな身動きがあるだけで、やはり彼女の声は発せられることはな い。
扉に背を預けて立っていた真澄は、すたすたとベッドに歩み寄ると、こんもりと膨らんだ 白い山にそっと口を寄せる。
「俺も腹が減って死にそうなんだが、なんなら変わりにまた君を食べてもいいんだがな」
瞬間その山がばっと動き、シーツを巻き込んで中の彼女が身を丸める。と、同時に叫ぶよ うな声が上がった。
「ばかっ、速水さんのえっち、も〜〜知らないっ!!」
「…えっち……」
一瞬絶句したような声の後、爆笑する真澄の声が響く。
笑われた事に、シーツの中でう〜〜〜と唸り声を上げながらも、それでもマヤはシーツの 中から顔を出せずにいた。
だって…どんな顔をすれば良いのだ、こんな時は。

昨夜は何もかも信じられないことの連続だった。
自分の裸を、本当に何ひとつ身に纏っていない姿を、真澄に晒したことも。
あんな、体中あらゆる処に、キスの雨をふらされた事も。
今まで聞いた事もないような、あられもない様な声が、自分の口から漏れたことも。
そして…今もずくずくと疼く様に痛む下腹部が、その感触が、更にマヤを堪らない心地に させてしまうのだ。
マヤはぎゅーっとシーツを握り締めると、城の中に篭城するかのような気分で、シーツの 中で身を縮める。
するとようやく笑いが収まったらしい真澄が、からかう様に言ってきた。
「俺がえっちなら、君も昨夜はずいぶんとえっちだったがな」
かーーーっと一気に顔に血が上った。
冗談抜きで火を噴いてしまいそうなほどだ。
なんとかいい訳をしたいが、頭の中が真っ白で、なんと言い返せばいいのかそれすらもマヤには分からない。
「とにかく天岩戸から天女様を引きずり出すとしようか」
その言葉の意味をマヤが理解する前に、突如としてシーツが引っ張られぐるりと体が半回転する。
「きゃ…、きゃああああ!」
突然の事にマヤはなす術がない。
あっという間にシーツを剥ぎ取られて、突然の事に頭がぴよぴよとしていたが、マヤは はっと自分が何も身に着けていないことに気付き
「や、やだぁああ!!」
と、悲鳴を上げて慌ててシーツの端っこで体を隠す。
「おっと、もう逃がさない」
再度潜り込もうとするマヤを許さないとばかりに、真澄はベッドに上がり両腕をマヤの横に付き彼女を閉じ込めると、真上から見下ろしてくる。
一方真澄に拘束された形になったマヤは、ひたすら彼と顔を合わせないように身をすくめ るばかりだ。
じっと見詰められる真澄からの視線が痛い。
さっきまで自分を守ってくれていたシーツの鎧は、今はもうホンの少し自分の体にひっかかっているだけだ。

朝の光がさんさんと差し込む明るい室内で、背中から足から素肌を露出させて、しかもそんな姿の自分の上には、これまたバスローブを羽織っただけの真澄が乗っかっているのだから。
またもや顔が真っ赤に赤らんでくるのは、もはやどうしようもない。
必死でそんな顔を隠そうと顔を背けて、目をギュッとつむる。
ああもう、本当に、こんな時に世の他の女性たちは一体どんな風に相手の男性に接してい るのだ。
無理な注文だが、今すぐに教えてもらいたいと切実に思ってしまう。
でなければ、あまりの息苦しさに呼吸困難で死んでしまいそうだから!
するとそんなマヤの頬に、そっと柔らかい感触。 驚いてぱちっと目を開け首を向ければ、間近に真澄の端正な顔。頬に触れたのは彼の唇。
「やっとこっちを見てくれたな」
苦笑するように笑って、柔らかく目を細める。
その視線が、ひどく優しい。
「おはよう、マヤ」
そう言っていとおしむ様に、マヤの額から前髪を撫でると、まるで空から降ってくるよう にそっと真澄の口付けがマヤの唇に落とされる。
唇から体いっぱいに、頭のてっぺんから足の爪先まで、すべて満たすように注ぎ込まれる 彼の愛情を感じて、マヤは幸せで幸せで溶けてしまいそうに思う。
このまま彼の中に溶け込んでしまえたら… マヤはシーツを握り締めていた手を離すと、その両腕を真澄の首にまわし彼にしがみつく。
長い口づけを受けながら、マヤはふと昨夜真澄に言いそびれていた言葉を思い出した。
言いたくて伝えたくて、なのに次々と押し寄せてくる未知の世界に精一杯で、遂には言わ ずじまいになってしまったその言葉。
真澄の唇が離れ、額をコツン…押し当てながら至近距離から瞳を覗きこまれたマヤは、頬 を染めたまま、極上の笑顔で言った。

 「速水さん、だぁい好き…」

END

 

 


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